
皆さんこんにちは!
今回は血糖値、その中でも血糖値の急激な変化についてお話しします。
はじめに
“糖尿病”
知らない人がいないと思うほど有名な生活習慣病ですよね.
簡単に言えば,インスリンの働きが悪くなり,血糖値が高くなってしまう病気です.
糖尿病の診断は,HbA1c≧6.5%や空腹時血糖値≧126mg/dL,
ブドウ糖負荷試験(Oral Glucose Torelance Test;OGTT)2時間後血糖値≧200mg/dLによって行われます.(糖尿病診療ガイドラインより抜粋)
血糖値が高いことがよくないということがわかりますね.
ただ,純粋に血糖値が高いことだけでなく,血糖値の急激な変動にも注意を払わないといけません.
本記事は“血糖値スパイク”をキーワードに血糖値に関してまとめていきます.
血糖値スパイクって何?
食事で摂取した糖質は,ブドウ糖となり小腸で吸収され血糖として筋肉などの各臓器へ運ばれます.
通常,食後血糖値は140mg/dL以内に収まり,しばらくして元に戻るとされています.
糖尿病の前段階と言われていたり,がんや心筋梗塞,脳梗塞などの発生リスクとの関連も言われています.
なお,血糖値スパイクとは食後高血糖と類義語と考えられます.
血糖値スパイクのメカニズム
空腹時にご飯やパンなどで糖質を大量に摂取することで血糖値が急激に上昇します.
その際,生体の反応として,膵臓が大量にインスリンを分泌し,血糖値を下げる訳ですが,大量のインスリンにより急激な血糖値の低下を招き,逆に低血糖状態となってしまいます.
そして,低血糖状態となったことにより,脳内で糖が足りないと錯覚を起こし,再び甘い物(糖質)を欲するようになります.
この悪循環が続くことにより,生体内では高血糖と低血糖をジェットコースターのように繰り返し,膵臓や血管に負担がかかったり,眠気に襲われたり,集中力が高まらなくなったりします.
ここで皆さんに質問です。
恐らくこれは,血糖値スパイクにより低血糖症状の眠気が出現していると考えられます.
血糖値の変動の基準は?
結論から言うと,血糖値は70〜140mg/dLの範囲内で留めることが推奨されています.
上限の140mg/dLの根拠は,国際糖尿病連合(International Diabetes Federation;IDF)が心血管障害予防のために出した食後血糖値の勧告が一つ考えられると思います.
また,下限の70mg/dLに関して考えていきます.低血糖症状を考えた際,60mg/dL以下で冷や汗や顔面蒼白,頻脈などの交感神経刺激症状が出現し,
45〜50mg/dL以下で頭痛,生あくびや傾眠など中枢神経症状が出現し,
30mg/dL以下になると昏睡状態に陥るとされています.
そのため,神経症状が出現しない境界線上であろう70mg/dLを下限としたと考えます.
ちなみに,OGTT2時間後血糖値で200mg/dLが採用されているのは,
この数値を境に糖尿病網膜症が増加するといった疫学研究に基づいているようです.
血糖値は上昇するもの
血糖値を上げずに生活ができればいいのですが,血糖値を全く上昇させず生きていくことは不可能です.
そのため,血糖値は上昇するものとして,どのようにして血糖値の変動を70~140mg/dL内に収めるか,血糖値の急激な上昇や下降を抑えるかが重要なポイントになってきます.
前者は,こまめに糖質の補給を行うことがポイントかと思います.
そのため,おやつを有効活用しましょう!.
ただ,甘いお菓子など食べるおやつの種類は考えないといけません.
ここで糖質の多く入ったお菓子を食べていては本末転倒ですもんね.
よく雑誌や書籍などではナッツ類がオススメのおやつとして紹介されていたりしますよね.
次に後者は,食事の組み合わせが一つのポイントになってきます.食物線維を糖質摂取の前に摂取すると血糖値の上昇率が抑えられたりします.
食事時のちょっとした工夫だけでも対策ができそうですね.
まとめ
・食後の急激な血糖値の変動を“血糖値スパイク”という.
・血糖値スパイクはがんや心筋梗塞など様々な疾患との関連が言われている.
・食後の血糖値は上昇するものであり,70〜140mg/dLの範囲内で収めることが推奨されている.
・おやつの有効活用や食事の組み合わせ及び食べる順番にて対策はできそうである.
・血糖値スパイクは生理的な現象であるため,血糖値スパイクにより,食後すぐに甘い物(糖質)が欲しくなる現象を我慢しても生理的欲求(生きていくために必要)なため,我慢することは難しいと考えられる.
引用:
・日本糖尿病学会:糖尿病診療ガイドライン2016
・弘世貴久 他:病気がみえる vol.3 糖尿病・代謝・内分泌 第2版.2009
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