体幹トレーニングって地味だけどキツイ

筋力増強基礎

この記事を読むと,

プランクなどの体幹トレーニングでは

静的な運動がなぜ多いのかを

理解できます.

RYUKI
RYUKI

体幹トレーニングって,

ジッとしているようなものが

多く地味な印象がありますよね.

なぜそのような運動が良いのか

解説していこうと思います.

はじめに

“サイズの原理”

理学療法士などリハビリテーションに携わる方で

あれば聞いたことがあると思います.

恐らく,

それ以外の方は馴染みのない言葉かと思います.

 

本記事では,

“サイズの原理“をキーワードにして

体幹トレーニングを考えていきたいと思います.

 

サイズの原理

“力がゼロの状態から徐々に大きな力を出し,

最終的に最大筋力に達するような力の発揮では,

小さな運動単位からまず使われ,

大きな運動単位が徐々に加勢していく”

とされる原理です.

言い換えると,

身体を動かす際は,

小さな運動単位から徐々に大きな運動単位が

使われていくといったところでしょうか.

さらに言うと,

サイズの小さな運動単位とは

主に遅筋線維の運動単位

言われています.遅筋線維と言えば,

「筋肉って何者なんだ!?」の記事で

紹介したように効率的にエネルギーを

産生することができる筋肉です.

そして,サイズの大きな運動単位とは

主に速筋線維の運動単位となります.

つまり,

“サイズの原理”とは,

“力を発揮していくときはまず遅筋線維から使われ,

徐々に速筋線維が使われていくとする原理”

になります.

 

RYUKI
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運動単位とは

1つの運動神経(αニューロン)と

それが支配する筋線維の

集団のことです.

下記の酒井医療株式会社の

ホームページがわかりやすいと

思います.

ご参照ください.

 

酒井医療株式会社HP

 

 

日常生活で使われる筋力は最大筋力の20〜30%

Hettingerらによると、

日常生活を送る上で使用する筋力は

最大筋力の20〜30%と報告されています.

そして,その程度の筋力であれば

遅筋線維を使うことにより,

ヒトは効率良く活動していると考えられています.

 

サイズの原理には例外が存在する

“サイズの原理”は,ヒトが身体を動かす際に

効率化を図る上で非常に重要なものであることが

理解できました.

そのような“サイズの原理”には

例外が存在していると言われています.

1つ目がスタートダッシュのように

瞬発的な筋発揮が求められるような時であり,

2つ目がジャンプ後の着地のように

ブレーキをかけるような筋発揮

(遠心性収縮/伸張性収縮)が

求められる時であると言われています.

そのような時に遅筋線維から使っていると

逆に効率が悪いため,

速筋線維から使われるようになると

言われています.

 

体幹トレーニングではなぜ姿勢保持をする?

“サイズの原理”から

ヒトが身体を動かす時の仕組みが

理解できたと思います.

そろそろ本題に入ります.

皆さん,体幹トレーニングと聞くと

どのような運動を思い浮かべますか?

 

代表的な運動は 「プランク」 ではないでしょうか.

こんなやつですね.

そう.地味にキツイやつです.

このような体幹トレーニングって,

ダイナミックな動きというよりは

姿勢を保持することがポイントかと思います.

 

なぜか?

 

サイズの原理及びその例外から説明できます.

前述しましたが,

“サイズの原理”とは,

“力を発揮していくときはまず遅筋線維から使われ,

徐々に速筋線維が使われていくとする原理” です.

遅筋線維は姿勢を保持するような筋肉の

多いことが特徴です.

そして,体幹筋と呼ばれる筋(特に

コアマッスルと呼ばれるような

腹横筋など)は遅筋線維が

多いと言われています.

さらに,

サイズの原理の例外であったように

瞬発的な運動を行う時は速筋線維が

使われます.

つまり,

遅筋線維の多い体幹筋のトレーニングを

行う際は,あまり関節運動を

伴わないような,かつ,瞬発的でない運動が

理にかなっていると考えられます.

 

これが体幹トレーニングでは姿勢保持などの

静的な運動が多い理由となります.

 

まとめ

・“サイズの原理”とは,

“力を発揮していくときはまず

遅筋線維から使われ,

徐々に速筋線維が使われていくと

する原理”のことである.

・“サイズの原理”はヒトが効率的に

身体を動かす上で重要な原理である.

・遅筋線維の多い体幹筋のトレーニングには

姿勢保持を行うような運動が理にかなっている.

 

引用

・石井直方 他:筋肉の科学 第1版.

ベースボールマガジン

・Hettinger et al,猪飼道夫(訳):

アイソメトリックトレーニング

ー筋力トレーニングの理論と実際.

大修館書店,1982

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