
今回は,
メカニズムがまだ明らかに
なってはいませんが,
筋肉痛に関して
どのような評価方法で
研究が進められているのか
まとめます.
はじめに
の記事で,
筋肉痛のメカニズムの有力説を
私たちの私見も
交えて紹介しました.
本記事では筋肉痛に関して,
研究的な側面でどのような
指標(アウトカム)で検討が
なされているかを
考えていければと思います.
有力説から指標を考える
以前の記事で,
筋肉痛のメカニズムの有力説として,
“結合組織,筋肉の損傷説”
と
“炎症および酵素流出説”
を挙げました.
それらの有力説を踏まえると,
クレアチンキナーゼ
(Creatine Kinase;CK)活性値が
指標の1つとして考えられます.
クレアチンキナーゼ
(Creatine Kinase;CK)とは
筋肉内に多く存在する酵素であり,
クレアチンリン酸の合成・分解を
触媒する役割を担います.
親しみの少ない言葉が並びますね.
“糖質無くして筋トレ無し?”の記事に
図で少し説明しています.
筋肉痛では,
結合組織,筋肉の損傷により
血管内に酵素が流出している
状態となります.
つまり,
筋肉の中に存在する酵素(CK)が
血管内に漏れ出しており,
筋肉痛とはCK活性値が
高くなっている状態と言えます.
※CK活性値が高いとは
血液内のCK濃度が上昇している状態です.
筋肉痛を取り上げている論文でもCK値は
よく用いられている印象です.
文献から指標を考える
炎症説もあるため,
炎症の重要な血液所見の1つである
C反応蛋白(C-Reactive Protein;CRP)が
用いられているものがあります.
CRPが高いほど身体の中で炎症反応が
生じていることがわかります.
また,痛みの程度を聞くものも存在します.
そのツールとして,
紙面に書いた100mm(あるいは50mm)の
直線の片方の端に「痛みなし」,もう一方の端に
「最高の痛み」を示す
VAS(Visual Analog Scale:
視覚アナログ尺度)法に,
痛みの程度を数字や言葉を加える
NRS(Numerical Rating Scale:
数値対応尺度)法,
VRS(Verbal Rating Scale:
言語対応尺度)法が
多く用いられていたと
紹介されています.
そして,痛みの評価手法として
手の圧迫や圧痛計が用いられていた
とされています.(参考:川岡 / 2006)

痛みの評価は主観的なもの
になりやすく,10人いれば
10通りの痛みがあると
思っています.
そのような中,
VAS法,NRS法やVRS法に
代表されるような客観的な
指標を用いることによって
痛みを共有できるように
することは重要と思っています.
また,共有の目的だけでなく,
自身の痛み(身体の状況)の
把握にも繋がると思います.
他には,筋力の推移を見ているもの
も存在しています.
これには
に代表されるような
筋力測定装置が必要になります.
装置を用いてトルク値と呼ばれる
計測データを算出し,推移を見ています.
非常に高額な機器になるため,
計測できる環境は限られますが,,,
最後になりましたが,もちろんCK活性値も
用いられていました.
川岡らによると
運動後のCK活性値は上昇するが,
そのピークは3〜4日後であるとする
文献が多かった.
とまとめられていました.
まとめ
・筋肉痛に関して,研究的な側面で
どのような指標(アウトカム)が
用いられているか検討した.
・血液所見は実生活に中で参考にすることは
できないが,痛みの評価方法は筋肉痛に
限らず知っておいても損はないものかと思う.
・筋肉痛は様々な観点から研究が
進められていることがわかった.
引用:
・川岡臣昭 他:遅発性筋肉痛および運動に伴う
筋損傷研究における文献的知見 ー被験者特性
の違いに着目してー.川崎医療福祉学会誌.
2006;16(2):365-372
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