筋肉って何者なんだ!?

筋力増強基礎
RYUKI
RYUKI

今日は初心に帰って、そもそも筋肉とはなんなのか?

という深いテーマでお送りします。
トレーニングについての知識も重要ですが、

筋肉自体に対する知識を深めることでより効率的よくトレーニングが実施できるかと思います。

はじめに

 

筋肉はなんのために存在しているのでしょうか?

東京大学 石井直方教授の著書では下記のように述べられています.(石井直方の筋肉の科学 / 2017)

 

1.身体を動かすため

2.重力などに対する姿勢の維持のため

3.熱を生成するため

4.力学的ストレスから身体を保護するため

5.内分泌器官の役割のため

 

多様な働きがある筋肉に関してまとめていきます.

 

筋肉の構造

一般的に認知されている筋肉は階層構造となっています.

理学療法士が触診,視診で認識できる部分は多数の筋線維束から構成されている階層です.

そして,この筋線維束は多数の筋線維(muscle fiber)から構成されます.

ちなみに数本の筋線維束を束ねる膜を筋周膜(perimysium)といい,

複数の筋周膜が束なった部分が最も表層の階層になります.

この複数の筋周膜を束ねる膜を筋膜(muscle fascia)といいます.

1本の筋線維束は断面積1mm2とされており,筋線維がよりミクロな部分であることがわかります.

1本の筋線維束は200~250本の筋線維から構成され,

筋線維は筋原線維(myofibril)から構成され,

筋原繊維は筋節(sarcomere)から構成されます.

そして,筋節は2つの筋フィラメント(myofilament)から成り立っています.

文章になると,非常にわかりにくいため,下に図を載せます.

 

ポイントは筋肉が階層構造であることかと思います.

本記事では筋原繊維や筋節に関しては触れず,筋線維レベルまでの話を進めていきます.

 

筋線維の種類(赤筋と白筋)

筋肉は,赤っぽい筋肉である赤筋(遅筋線維 ; ST=slow twitch)白っぽい筋肉である白筋(速筋線維 ; FT=fast twitch)に大きく分けられます.

STとFTは力学的な特性での分類です.

筋肉に単発の電気刺激を与えた時に,素早く収縮するものがFT,

じわっとゆっくりと収縮するものがSTとなります.

赤筋(遅筋線維 ; ST)は主に姿勢を保持するために働く筋に多く,

白筋(速筋線維 ; FT)は主に運動を起こすために働く筋に多いと言われています.

また,赤筋はマラソン選手などの持久性のスポーツ選手に多く存在し,

白筋はスプリンター選手などの激しい筋活動を伴うスポーツ選手に多く存在しているとの報告もあります.(Pette et al : 2001)

筋線維タイプ分類の最も古い研究は,筋肉の代謝的な特性によって分けるといったものでした.

これは,筋線維の中にある解糖系のための酵素の量が多いか少ないか,

さらに有酸素性の活性が高いか低いかを調査しました.

結果は,主に酸素を用いないエネルギー代謝(解糖系)を行うタイプと酸素を用いるエネルギー代謝(酸化系)を行うタイプに綺麗に分かれたといったものでした.

前者はFG = fast glycolytic,後者はSO = slow oxidativeと呼ばれ,

前述した力学的な特性にほぼ対応しており,FT≒FG ,ST≒SOとなります.

ただ,代謝的な特性によって分類した場合,FGにもSOにも属さない中間的なタイプが現れ,

FOG = fast oxidative-glycolyticと分類されました.下に一覧を載せます.

 

筋線維の並び方(平行筋と羽状筋)

筋線維の並び方により,平行筋(紡錘状筋)羽状筋と呼ばれる筋に分けられます.

これは3)の筋線維の種類より少しマクロな話になります.

平行筋とはイラストなどでも出てくるようないわゆる力こぶのような筋肉です.

筋線維の1本1本が筋肉(もしくは腱)の長軸に平行に走っています.

羽状筋とは鳥の羽のように筋線維が少し傾いて斜めに走っている筋肉です.

下に模式図を載せます.

 

人間の場合,四肢の伸筋には羽状筋が多く,屈筋には平行筋が多いという傾向があります.

羽状筋は一本一本の筋線維が短いため,筋肉の収縮速度遅いです.

しかし,筋線維が短いという短所がある反面,多数の筋線維が筋肉の中に詰まっていることになります.

筋力の構成要素の一つに筋線維の数があり,羽状筋はスピードに劣りますが,

強い力を出すことができる筋であることがわかります.

石井教授は車を例に出し,平行筋はスピード重視のレーシングカー,

羽状筋は力重視のブルトーザーと表現しています.

ちなみに,太腿の筋肉で考えると大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)もハムストリングス(太ももの後ろの筋肉)ともに羽状筋です.

しかし,ハムストリングスは筋肉の長軸に対する筋線維の傾きが小さく,

平行筋に近い特徴を持っていると言われています.

足が速くなりたければ,大腿四頭筋よりもハムストリングスを鍛えていけばいいかもしれませんね.

これには筋肉の作用などの話が入ってくるので一概には言えませんが,,,

まとめ

・筋肉は階層構造になっている..

・筋肉には赤っぽい筋肉と白っぽい筋肉が存在する..

・筋線維の違いにより分けることができ,それぞれ特性を持っている.

・筋線維の並び方によってもスピード重視の筋肉なのか,力重視の筋肉なのか分かれる.

・筋肉の正体を知った上で筋トレを行うと色々な観点から筋トレ方法を考えることができるかもしれない

 

引用:

・石井直方 他:筋肉の科学 第1版.ベースボールマガジン

・坂井建雄 他:プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第2版.医学書院

・Pette Det al .:Transitions of muscle fiber phenotypic profiles .Hisrochem Cell Biol .2001 ; 115 (5) : 359-372

 

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